最近、ニュースのトピックで、国会での与党と野党の質問時間の割合を変えるよう自民党が要請して、それに野党が反発している、という記事をみます。
与党の質問の意義や、野党の現在の質問の内容に関しての問題も指摘されています。
ここで、国会での与党と野党の質問時間の割り当ての変更と、質問の意義、そして問題点についてまとめてみました。
国会での与党と野党の質問時間の割り当て変更について
まず、与党の自民党が野党第一党の立憲民主党に対して、与野党の質問時間の比率を5対5にして、これまで野党側に配分してきた質問時間を削減したいとの申し入れが行われました。
現在の質問時間の比率は、与党が2に対して、野党が8、と圧倒的に野党の質問時間が多いというのが現状です。ここで、与党の国会議員にも本会議や各委員会での質問の機会をより多く与えたい、というのが今回の与党の意図です。
この「2対8」の配分は、旧民主党政権時代に、自民党の要求で定まったものだとされています。
毎日新聞によると、今までの衆議院予算委員会での質疑時間の配分例は下記のようになります。
2010年2月鳩山内閣
与党13% 野党87%
議席の割合はこの時、与党67% 野党33%
2011年2月 菅内閣
与党16% 野党84%
議席の割合、与党67% 野党33%
2013年 安倍内閣
与党21% 野党79%
議席の割合、与党68% 野党32%
出典https://mainichi.jp/articles/20171031/k00/00m/010/119000c
この民主党政権の前の麻生政権までは「与党4、野党6」が慣例でした。
しかしながら、テレビ番組での発言で、元民主党秘書の有馬晴海氏は
「民主党政権時に与党の質問時間を大幅に減らしたが、実はそこには裏があった。
すなわち、当時の民主党内の意見が一致してないので、民主党議員が質問し総理が答えるという事になると、意見が違ってややこしくなる。
だから与党の質問時間をなるべく自民党にあげた方がいい、ということとなった。
これは、小沢一郎幹事長の戦略だったという説もある」
という話をしております。
この話の信憑性は別として、与党の質問時間にも様々な各党の思惑があるということが読み取れます。
国会での与党の質問の意義とは
行政権を持つ内閣は与党議員からなりますが、だからと言って、与党議員すべての党員が政策を支持しているわけではない場合があります。
このように、与党内でも意見の相違は当然あり、与党議員の質問によって、政策の意味や問題点が浮き彫りになることはあるでしょう。
ただし、政府が法案を作成する過程で、与党内で議論して意見を交換する機会があるわけで、一度、了承した法案等の不備を与党議員が国会の質問でついたり、否定的な意見を出す可能性は低いであろうという指摘もあります。
国会での野党の質問の意義とは
国会での野党の質問の意義は当然あるとされますが、現実には、政策とは関係ない証拠の乏しい疑惑や揚げ足取り、政局がらみで質問が費やされている、という指摘があります。また、安定与党の場合は野党が何を言っても政策に反映されないから無意味な面もあることも指摘されています。
国会の質問時間配分の変更に関する問題点
自民党の議員、とりわけ若手議員が、国会での質問の機会が限られ、地元の有権者から仕事をしていないと批判されている人もいるのが現状です。
これが、与党が質問時間を増やして欲しいという理由の一つですが、この動きに関して、菅義偉官房長官は「与党と野党との議席数に応じた質問時間の配分を求める主張は、国民から見ればもっとものことである」という見解を示しております。
国会における審議では、野党側からの多様な意見を政権側が検討することで、より幅広い意見を取り入れた政策を打ち出せる可能性があり、野党の質疑時間を減らすことは問題がある。野党が政権をチェックしたり、さらに追及したりするという国会本来の機能が縮小する。このようなことは「与党の暴挙だ」との声が野党から上がっており、それに対して理解を示す人もいます。
一方、今年の国会での野党の質問を見ていた結果が今回の衆議院選挙の与党の圧勝とも言えるので、新聞が社説で野党を援護しようが、国民の声は与党側にある可能性も否定できないでしょう。
なお、国会での野党の質問時間削減へのFNN、朝日新聞、毎日新聞の世論調査結果には違いがあり、その分析はこちらになります。
国会での野党の質問時間削減へのFNN朝日毎日新聞の世論調査結果の違いの分析
まとめ
衆議院予算委員会などで現在「2対8」となっている与党と野党の質問の時間配分について、与党分を拡大し、野党分を削減する向で与党側が検討に入っております。一方野党側は暴挙だと反発しております。野党が政権をチェックしたり、追及したりするのが国会本来の機能であり、その機能が減るという意見と、野党による無意味な質問に多くの国民が辟易している現状から与党の意見を支持する意見もあります。