ノーベル平和賞の受賞者発表はオスロにて毎年行われます。
このノーベル平和賞の受賞に関しては、純粋な学術的な評価で選定される他の賞とは全く異なります。
現在進行中の国際的な政治情勢やノルウェーの政治的な指向など密接に絡んでいます。
例えば、昔、パレスチナゲリラのトップが受賞したりオバマ大統領が受賞したことすらあります。
ここで、今年のノーベル平和賞候補者について、平和賞2019にトランプ大統領とスウェーデンの16歳高校生が推薦された理由は?日本人候補者は?についてまとめました。
ノーベル平和賞とはどんな賞か?
ノーベル賞平和賞とは、スウェーデン人の発明家、莫大な遺産を残したアルフレッド・ノーベルの遺言によって1901年に制定されたノーベル賞の6つの分野のひとつです。
この賞の本来の目的は、世界の平和や秩序維持、紛争の調停、人権や民主化を推進した人や団体に贈るというものです。また、近年では環境保護も基準の一つとされています。
その選考のプロセスに関してですが、まずは、ノルウェー・ノーベル委員会から世界各国の政府や議員、研究施設や大学教授などのいわゆる識者や団体に、その年の候補者推薦への要項が送られます。そして推薦された人物や団体からノルウェーの選考委員回で選考されます。
ノルウェーにはノーベル平和賞を授与する委員会があります。この委員会のメンバーはノルウェー国会によって任命されます。ちなみになぜノルウェーなのかはスウェーデンとノルウェーの歴史に関わる興味深い点です。
そして、この平和賞の授与式だけは首都オスロにある市庁舎で開催されています。
そして、ノルウェーの国会議員が受賞者の推薦者であることは珍しくありません。
毎年、意外な人や団体が受賞します。17歳の女性や、アメリカ大統領オバマ氏も受賞しました。
ノーベル平和賞2019候補者にトランプ大統領
ノーベル賞の公式な候補者リストや最終的にノミネートされた人、選考過程はノルウェー・ノーベル委員会から50年間は公開されことになっています。
しかしながら、推薦人自らが推薦した個人もしくは団体を発表することに対しては制限はありません。
そのような情報で候補者とされているのは、アメリカからはドナルド・トランプ米大統領の名前が挙がっております。
これは、彼自身が、私を安倍首相が推薦した、と述べたことでニュースになりました。
そして、安倍首相自体は、そのことを否定も肯定もしておりません。
トランプ大統領の思惑としては、北朝鮮問題で核廃棄に一歩、そして朝鮮戦争を集結させたらその功績で、という思惑があったとは思いますが、先日のベトナムでの会談で合意に至らなかったこともあり、現時点では厳しい状況となっています。
ノーベル平和賞2019候補者にスウェーデンの16歳高校生
スウェーデンの16歳の高校生であり、環境活動家であるグレタ・トゥンベリさんが、ノーベル平和賞にノミネートされたと、海外の報道機関のBBCやHUFFPOSTなどが報じました。
これは、ノルウェーの野党・左派政党「左派社会党」の国会議員グループが、気候変動対策を訴える少女グレタ・トゥンベリさん(16)を、ノーベル平和賞候補に推薦したと発表しました。
トゥンベリさんを推薦したのは、左派社会党の3人の国会議員です。3月13日、ノルウェーの現地メディア各紙で報じられたことを受けてものなので、事実ということになります。
もし、彼女が受賞することになれば、パキスタン出身の人権運動家マララ・ユスフザイ(現在21歳)が17歳で受賞した最年少記録を更新することにもなることもあり、注目されています。
トゥンベリさんは、気候変動や地球温暖化について知ったのは8歳の頃だと話しています。その後、15歳の年、スウェーデンが記録的な猛暑に見舞われた昨年の8月、議会前で1人で座り込み、温暖化対策をとらない大人たちに向けて抗議の登校拒否を続けました。
これはこの年のスウェーデンの総選挙に向けて、気候への危機的な状況、そして対策を取ることを主張したということです。
この行動は国内で報じられ、さらに世界中でも話題となりました。そしてこの行動が、他の国の若者にも影響を与え、金曜日に学校をサボタージュして抗議を行う「#FridaysForFuture」という運動へと発展しました。
実際、ドイツ、ベルギー、イギリス、フランスなど世界各国の子供らが金曜日にストライキ運動を行なったと報道されています。
その後、トゥンベリさんは、世界の環境問題を訴えるため、多くの国際会議でスピーチを積極的に行ってきました。
昨年12月ポーランド開催の「COP24(気候変動枠組条約第24回締約国会議)」でも、気候変動の危機について講演しました。
そこで、世界中の大人たちに「子どもを何よりも愛していると言いつつ、みなさんは子どもの未来を奪っています」と強く訴えました。
さらに、今年1月のダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)でも同様の講演をして、さらに注目を集めています。
ノーベル平和賞2019候補者にスウェーデンの16歳高校生が推薦された理由は?
スウェーデンの16歳高校生トゥンベリさんが行った環境問題へのこれらの行動をノルウェーの左派社会党の国会議員3人は下のように評価しました
「トゥンベリさんがはじめた、大きなムーブメントは、平和への貢献のためとても重要なことであり、紛争や対立の原因の1つが気候危機であると考え、ノミネートしました」がノーベル賞への推薦の理由です。
このニュースにトゥンベリさんは、ノミネートを嬉しく、そして誇りに思う、と感想をTwitterに投稿しました。
2017年度のノーベル平和賞はICAN アイキャンが受賞
過去の例ですが、2017年度のノーベル平和賞は、核兵器廃絶国際キャンペーン( International Campaign to Abolish Nuclear Weapons, ICAN アイキャン)が受賞しましたが、2017年7月に国連で採択された、核兵器を違法とする核兵器禁止条約の成立でICANが主導的役割を果たしたことが認められての受賞です。
この、核軍縮関連でのノーベル平和賞受賞は、2009年に「核兵器なき世界の実現」を唱えた当時のアメリカ大統領バラク・オバマ氏以来となります。
ICANは、核の非人道性を強く訴えて、日本の広島や長崎の被爆者や、日本原水爆被害者団体協議会などとも連携して、反核運動を展開してきました。
しかしながら、2019年で現実の核廃絶には至っていないし、北朝鮮の核開発は中止されておらず、例えばインドパキスタンで核戦争の危険が現存するのは周知の事実です。
ノーベル平和賞の日本人候補は?
人物や団体として現在の時点で候補に挙がっていると報道されている日本人はいませんでした。
過去に佐藤栄作首相が受賞されてから、この分野での受賞は1人もありません。
もちろん、サプライズ受賞もあるかもしれないので、秋の発表を待ちましょう。
ノーベル平和賞と日本国憲法
以前、第九条をノーベル賞にという報道がありましたが、まず第一に、日本国憲法9条は人でもなく、そして団体でもありません。なので、憲法が受賞する対象とはなりえません。
まとめ
ノーベル平和賞は、国際的な秩序維持や人権、環境問題に取り組んできた人物や団体に与えられる賞です。
2019年の候補者としては、トランプ大統領、そしてスウェーデンの高校生の名前が挙がっています。
2017は核兵器廃絶国際キャンペーンICANが受賞しました。
日本人の受賞の可能性は現在のところ不明です。
出典
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190316-00010000-cosmopoli-ent
https://news.yahoo.co.jp/byline/abumiasaki/20190314-00118163/
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